NATURAL
CHEESE
COLUMN

研究開発の拠点と工場をつなぎ
チーズと十勝を次なるステージへ

株式会社明治
十勝チーズ研究センター

株式会社明治
研究本部 商品開発研究所
十勝チーズ研究センター長

川端 史郎 さん

1989年に株式会社明治に入社。半年間の工場勤務を経て研究本部に配属。「明治北海道十勝」ブランドの誕生に携わる。技術部(本社)勤務の後、2006年に研究本部の課長に就任。十勝工場セミハードチーズの製法開発を担当する。十勝帯広工場長(当時)などを経て、2022年より現職。

 株式会社明治では1992年より“十勝”というエリアをブランド名に使った「明治北海道十勝」シリーズを販売しています。当時はまだプロセスチーズが主流だった時代。そのなかで明治として唯一、ナチュラルチーズを作っていたのが帯広にあった工場でした。その後、ナチュラルチーズ市場の拡大に合わせ、国産で本格的にカマンベールを量産するラインをこの工場に設置。1999年に全国販売した「明治北海道十勝カマンベール」は、今やブランドを代表するチーズとして成長を遂げています。
 十勝は日本が誇る酪農の大地であり、チーズの生産量も日本一。まさにチーズの中心地と言えるエリアです。そこで明治は2008年に国内最大級のチーズ工場となる十勝工場を芽室町に設立。さらに2022年、東京・八王子に集約している研究開発部門からナチュラルチーズの開発機能の一部を十勝に移管。十勝工場内に「十勝チーズ研究センター」を設置しました。

 研究センター誕生の背景には、現場に近い方がより効率的な研究開発すなわち商品化に向けたスピードアップを図れるはずという判断があり、そこには明治として今後もナチュラルチーズに力を入れていくという戦略もあります。その最初の成果が、2023年に生まれた「明治北海道十勝カマンブルー」です。こちらは日本人にも食べやすいブルーチーズを目指して研究開発した商品。カマンベールのまろやかさを感じながら、しっかりしたブルーチーズの風味が味わえる新感覚のチーズに仕上げることができました。
 研究センターでは今後も現場とともにチーズの新しい可能性を追求しながら、同時に「十勝」という地域ブランドを地域の皆さまと一緒に盛り上げていきたいと考えています。北海道のナチュラルチーズがこれからも国内さらには世界から高い注目を集めていくのは間違いありません。「十勝ラクレット」がついにGI登録されたことは、いち十勝人としてうれしい限りです。私たちもそうした「十勝」全体の活性化につながる活動を模索し、地域のチーズ工房や団体の皆さまと協力して取り組んでいきたいと思っています。