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石川尚美さん

【プロフィール】
石川尚美チーズサロン代表。
チーズプロフェッショナルをはじめ、ソムリエ、利酒師、焼酎アドバイザーなどの資格を持つ。各種セミナーやイベントを通じて、チーズやお酒の楽しみ方を伝えている。国内外のチーズコンテストの審査員も務める。
http://cheese-salon.com/

チーズプロフェッショナルに聞く北海道ナチュラルチーズの力と可能性

「一番おいしいとき」を知ると
食べる楽しみが一層深まる

 フランスに「モンディアル・デュ・フロマージュ」というチーズ・乳製品の国際的なコンテストがある。2年に一度の開催で2017年6月、前回に引き続き審査員を務めた。日本からは国産チーズのコンテスト「ジャパン・チーズ・アワード」で金賞を受賞した工房の中から14工房(内、北海道から5工房)がエントリーした。
 このような国際コンテストに参加して思うのは、日本のトップクラスのチーズは、世界的な水準に到達したということ。本場・ヨーロッパの人も日本のチーズのレベルの高さに驚いている。まず、なによりも「表情」がきれいだ。カビの状態も形も日本人の几帳面さ・緻密さを反映し、管理が行き届いているのが一目でわかる。チーズは熟成するものなので、カビや形に乱れがあると、一つのチーズでも場所によって味が変わってしまうのだ。
 ただ気になることもある。それは、消費者が食べ頃を逃している事が多いという点。チーズはゆっくり熟成し、賞味期限後も熟成が続く。どのタイミングで食べたら良いのか? 真の食べ頃を理解していないため好みの熟成タイミングを逃しているように思う。チーズは生ものなので、風味の変化と法的な賞味期限は必ずしも一致しない。
 例えばフランスでは、店頭に食べ頃のチーズが並び、肉や魚のように今日食べるチーズを買って行く。作る人・売る人・食べる人がチーズの「一番おいしいとき」を知っているからこそ、食べ頃を逃さずうまく回転しているわけである。
 日本にナチュラルチーズの「一番おいしいとき」を広める一つの方法として、賞味期限の下に、あっさり目が好きなら○日、標準的な食べ頃は○日、熟成を求めるなら○日と記すことを各所で提案している。
 北海道のナチュラルチーズがどんどん美味しくなり、世界的なブランドになっていくのは、応援している者にとってこれほどの喜びはない。ブランド化していくには、一定品質・安定供給が不可欠である。「欲しいのに商品がない」、「売っているところが限られる」という声も聞かれるが、作る側だけではなく、販売や利用する側でも、地元の食を応援するシステムづくりが重要だと思う。例えば、ホテル・旅館の朝食に、地元産の牛乳やヨーグルト、チーズを出すことの条例化等を検討してほしい。また、お買い得感のある「地元価格」を設定することで、家庭の食卓に地元の乳製品が多く上がるようになり、また地域の手土産としても需要が増していくと思う。より多くの人がもっと手軽にチーズを楽しむことができる環境や仕組みを考え、提案していきたい。