❶指定団体制度とは?

昔は、酪農家がそれぞれ個別に乳業メーカーと価格等の交渉をして生乳を販売していました。しかしその交渉は対等とは言えず乳価紛争が多発し、さらには集乳ルートが入り乱れ、わざわざ遠方から運んでいる場合もあり、輸送コストがふくらんでいました。生産者にとっては厳しい環境が続きました。

指定団体制度は、昭和41年に施行された「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」(通称: 不足払い法)によりスタートし、現在は平成30年4月より改正・施行となった「畜産経営の安定に関する法律」(通称:畜安法)に基づいた制度です。
現行の法律は、「主要な家畜又は畜産物について、交付金若しくは生産者補給交付金等の交付又は価格の安定に関する措置を講ずることにより、畜産物の需給の安定等を通じた畜産経営の安定を図り、もつて畜産及びその関連産業の健全な発展を促進し、併せて国民消費生活の安定に寄与すること」を目的としています。
この制度により、指定団体制度の下で各酪農家の生乳をまとめる事で乳業メーカーと対等な立場で交渉する事が可能となる他、効率的な集荷体制の構築による輸送コストの低減、日々の需給調整、有事の際の対応力等が強化されることとなりました。

法律では、加工原料乳向の生乳(牛乳乳製品の原料となる牛より搾られたままの乳)を生産する酪農家に補給金を交付することとしており、さらに各地域であまねく集送乳を行うことを確保するため、指定事業者(実態に応じて従来通り指定生乳生産者団体、指定団体とも呼ぶ)を都道府県知事もしくは農林水産大臣が指定しています。
なお、この指定団体は、生産者からの委託・売り渡しの申し出に対し「年間を通じて安定的に行われる見込みがない場合その他の農林水産省令で定める正当な理由がある場合」を除き拒まないこと等を条件とされています。

指定団体は全国に10団体あり、北海道ではホクレンが北海道知事より指定を受けております。ホクレンは本制度と生産者の結束により「一元集荷多元販売」「用途別取引(プール乳価)」などを行い、酪農家の経営安定と所得向上、需給調整、消費者への安定供給に役目を果たしてきております。

[参考]一般社団法人Jミルク
参考サイトはこちら

 

❷指定団体制度の主なメリット

指定団体であるホクレンに北海道の酪農生産者が集結することにより、
4つの機能の最大化が期待されており、それぞれ実現に向けて取り組んでいます。

交渉力強化と安定取引

生乳の特性により酪農家は不利な立場に置かれる傾向にあり、指定団体に生乳をまとめることで交渉力を強化し、安定的な取引を図る。

輸送コスト削減

地理的条件の異なる酪農家が、バラバラに乳業メーカーへ輸送するのでは非効率かつ高コスト。指定団体がまとめて集乳に回ることで、効率的な輸送となりコストが削減できる。

需給調整機能

生乳は他の農産品と異なり、日持ちしないため毎日処理する必要があるが、各乳業メーカーからの需要は日々変動。指定団体がそれらの需給調整を担うことで、安定的に生乳が出荷できる。これらにより牛乳・乳製品の消費者への安定供給に寄与している。

災害・事故発生時の
輸送対応機能

天災や突発的な事故等の発生により、ある乳業工場への搬入が不可能な場合においても、輸送能力を最大限発揮し、広域的に調整等を行うことによって、生産された生乳の行き先を確保できる。

❸指定団体による生乳の需給調整

生乳は毎日生産され日持ちしづらく貯蔵性がないという特性があり、
一方で季節や天候、曜日により日々変動する需要に対して、指定団体としてホクレンが
各乳業メーカーと調整することで、牛乳・乳製品の安定供給を担っています。